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所属する大学の職員研修としてトレーニングを実施していただきました。残念ながら大学の中でもジェンダー平等や民族平等が達成されているとは言い難く、特に民族平等については、基礎的な啓発さえ緒につき始めた段階です。様々なハラスメントが起きても、驚いて何もできずに過ごしてしまった経験が何度もありましたし、自分自身が様々なマイノリティに関して失言をしてしまったことも多々あります。当日は、パワハラなどに加えレイシャル・ハラスメント(民族性に基づくハラスメント)を実感するシナリオも用意していただき、私も含め、多くの参加者にとって新鮮な経験ができました。また、センシティブな話題を扱いながら、打ち合わせを細やかにしていただいたおかげで、細部まで配慮が行き届いたトレーニングとなったことは嬉しいことでした。 マジョリティ性を強く持つ参加者からも「誰もが当事者意識を持って考えられる」という感想が寄せられました。私は、声を挙げにくい人が「自分にもできる」対処法を考える機会として貴重だと感じています。人に何かを伝えることが仕事になっている大学教員の属性故か、ハラスメントへの対処法として直接的な介入を選択する受講者がほとんどでした。それが難しい人も多く、教員もいざとなると何も言えないことが多いように思いますが、「どのように介入・説得するか」という論理の部分を丁寧に共有することもまた良い経験だと感じました。
北原モコットゥナㇱさん
北海道大学アイヌ・先住民研究センター 教授
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メディア関係者や記者職の方にぜひおすすめしたい研修です。記者(特に日本の)は何かと第三者であることと同時に「中立であること」に縛られがちです。でも、それが行きすぎて、逆に公平性をかいてしまったり、弱者や被害者をかえってないがしろにしてしまったりということがあるかと思います。そんな「中立」に悩まされた時に「自分の身の安全をしっかり確保しつつ、困っている人・助けたい人への適切な介入の仕方を学ぶ」というバイスタンダーの研修は、書き手として「何をどう語るべきか」という、自分なりの判断の軸を固める良いきっかけになりました。バイスタンダーの概念や「第三者の適切な介入の仕方は必ずある」ことを知ることは、取材へのスタンスを考えるきっかけになると思います。
三木 いずみさん
フリーランス記者
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25年以上前、ある発表の場で外国人のメンバーが発言した時に日本語の発音が正確にできなくて、その言葉を発するたびに周りがクスクス笑うという場面にいたことがありました。その時私はとても腹が立ち、「あなたたちは外国に行って、同じように皆の前で話すことができるのか」と言いたい気持ちになりました。でも、できなかった。それは多分、周りから浮きたくなかったからだと思います。その当人は、そんなことを軽々と乗り越えて皆と仲良くしていました。でも、私は今でもその時のことを思い出すたびに、胸がチクッと痛みます。その日本語の言葉が何だったかもはっきりと覚えています。当時この研修を受けていたら、何か違ったかもしれません。「アクティブ・バイスタンダー研修」は自分以外の誰かのため(だけ)ではなく、自分のための研修でもあると思います。
船山 和泉さん
大学教員/コーチ/茶道講師
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日本社会では経済成長が鈍化し、少なからぬ国民が貧困層になり、自然災害も頻発し、政治は迷走したまま行き場のない社会へと変わりつつある。経済成長による幸せという幻想を保てなくなった今、本当の豊かな生き方(Well-Being)とは何かを考えさせる教育が求められている。大学教育の現場の片隅で学生たちの声を聞いていると、日常生活や人間関係におこるトラブルに過剰なほどの防衛・回避反応(その典型が「知らぬふり」)をとり、そうしたことしかできない自分自身にさらに苦しんでいることがわかってきた。この研修を受講して、この学びこそ、苦しみの最中にある学生らの心を癒し、前へ進む勇気を与えてくれるものだと確信した。人間関係に敏感になり、社会との接点が多くなる高校生から大学生ぐらいの世代においてこの研修を体験する機会が多くなれば、日本はWell-Beingな社会へと歩み出せるようになるに違いない。
聞間 理さん
九州産業大学商学部 教授
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他人のために何ができるか。専門家ではない、ごく普通の一般人にはただ寄り添う、傍らに立つこと以外にできることはさほど多くはないと思う。ただ、そのためのノウハウを知っているかどうかは大きな違いになる。アクティブ・バイスタンダー研修ではそんなことを感じた。その一方で挙げられた事例に似た場面に複数回遭遇した経験からは「危ない!」という一声が事態悪化を防いだのかもしれないという気づきも。黙っているのではなく、とりあえず、一声、一足。踏み出すための知恵と勇気を得られたと思う。
中川 寛子さん
株式会社東京情報堂 代表取締役
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「あの人辛そう。助けてあげたい。でもどうしよう。私も怖いし」。そんな思いを持ったことがある方は沢山いますよね。思いがけず目撃者になる「差別」や「暴力」「ハラスメント」。日本は他人に手を貸す人が諸外国と比べて少ないそうですが、実はみんな知らないふりをしたいわけでななくて、やり方を知らないだけかもしれない。バイスタンダーとしての「あり方」を知り「介入方法」のパターンを知ることで、もう見て見ぬ振りをしなくて済むかもしれません。そんなことを学べる研修。世界をもっと良きものに変えていける勇気と自信をもらえますよ。
木下 紫乃さん
株式会社ヒキダシ 代表取締役